「バーバとジェイ子」― 涙のむこうに見えた光
7月の終わり、心が少し疲れていた頃。介護を支えてくれる人たちに囲まれているのに、なぜか自分だけが取り残されているような孤独を感じていました。夜になると、静かな部屋の中で涙がこぼれる日もありました。

そんなある日、スマートフォンで見たインスタグラムの動画「バーバとジェイ子」。娘さん(ジェイ子さん)とお母さまが、おばあさまのバーバを大切に介護しておられる姿でした。おばあさまの笑顔、お母さまのやさしいまなざし、ジェイ子さんの穏やかな声、そしてそっと流れる時間。その日常は、あたたかな光に包まれていて、見ているうちに胸の奥がじんわりと熱くなりました。
特に心を揺さぶられたのは、陽だまりの中、庭先でジェイ子さんがお母さまとバーバの髪をやさしくカットしておられる場面。そのとき流れていたBGMは、Uruさんの『それを愛と呼ぶなら』。

その旋律が胸の奥に深く響いた瞬間、涙があふれました。悲しかったからではなく、自分でも気づかなかった悲しみや孤独が、音の波にゆっくりとほどけていくような気がしたのです。まるで神さまが、見えないやさしい手で心にそっと触れてくださったようでした。そしてその涙は、癒しの涙でした。長いあいだ張りつめていた心が、静かにやわらいでいくのを感じました。
介護はこんなにも愛に満ちた営みなのだと、その動画が教えてくれました。愛で介護するということの尊さにふれ、私の胸の奥にも小さな光が灯るのを感じました。ひとりじゃない。私だけじゃない。そう気づいたとき、誰かのぬくもりに包まれているような気がしました。
※注:「バーバとジェイ子」は、写真や動画を共有するSNS〈インスタグラム〉で発信されている、ジェイ子さんとお母さまが、おばあさまを在宅で介護しておられる日々の記録です。

