冬の光が少し低くなり、朝の白さが部屋いっぱいに広がる頃、弟のお嫁さんと一緒に静かにクリスマスの飾りつけを始めました。
両親の部屋には、ふたりが大切に名付けた “祈りの園生(そのう)” という名前があります。讃美歌「祈りの園生」にちなんで、母が父に相談してつけたもので、わが家にとって特別な響きをもつ言葉です。今も朝と夜、その讃美歌をそっと流しています。

春の記憶は今も胸に残っています。3月、父は誤嚥性肺炎を3回くり返し、命の危険と向き合う日々がありました。主治医の先生の判断で訪問看護師さんたちが24時間体制で見守り、必要な医療ケアが続く中で、ふと窓の外に目を向けました。
窓の向こうに桜が咲きそろい、その景色が胸にしみました。「来年の桜は…どう迎えているのだろう」と思ったあの瞬間のことを、今でも忘れられません。だからこそ、今日こうしてクリスマスの飾りを準備できることが、どれほどの恵みなのかを深く感じています。

父は横になって過ごす時間が多く、長いあいだ天井を見つめています。その視線に少しでも光が届きますようにと、見上げた天井にも金色のガーランドをそっと飾りました。ゆっくり揺れる赤いオーナメントが、静かな時間を柔らかく照らしてくれます。

窓辺には、救い主イエス・キリストが誕生した最初のクリスマスの情景を飾りました。飼い葉桶のキリスト、ヨセフとマリヤ、羊を守る羊飼いたちが拝みに訪れ、天使が見守り、そして遠い国から星に導かれてやってきた東方の博士たち。
この窓のシールは日本では見つからなかったため、夏の頃から海外に取り寄せたものです。聖書が読めなくなってきた父にも、一目であの日が伝わるようにと選びました。

飾りつけを終え、静かに呼吸を整える父を見つめながら、季節がゆっくりと巡り、今日という一日が積み重なっていくことの尊さを思いました。
ここまでよく頑張ったお父さん、
クリスマスおめでとう…。