そばにいるね―痛みの夜に寄り添って
夜になると、父の胸の奥からゴロゴロという音が聞こえます。たんがからんで、息がしづらそうにしています。私はそばに行き、「お父さん、苦しいね」と声をかけます。
枕の角度を少し上げたり、体の向きを変えたりしながら、静かに呼吸が落ち着くのを待ちます。たんが絡んで苦しそうなときは、吸引の準備をして、父の呼吸が楽になるのを見守ります。

ようやく穏やかになったと思うと、今度は「痛い、痛い…足が痛い…」という声。長い時間同じ姿勢でいるせいでしょう、眠りの途中で痛みが出ることがあります。時計を見ると、もう日付が変わっていました。
祈りの園生の戸(両親の部屋)をそっと開けると、薄明かりの下で、父は眉を寄せて横になっています。「どこが痛いですか?ここですか?」その問いに、父がうっすらとまぶたを動かしました。
そのわずかな反応に気づいて、ホットパックでひざを温め、足首をそっと支えながら、足の甲をゆっくり上げて伸ばしていきます。手のぬくもりが少しでも届きますようにと、祈るような気持ちで静かに見守ります。
やがて、父がかすかに「ありがとう」とつぶやきました。その一言に胸が熱くなり、私はそっと布団をかけ直します。
その隣では、母が目を閉じて祈っていました。その祈りの声が、静かな夜に溶けていきます。「神さま、主人を助けてください。今、足が痛んで苦しんでいます。どうか痛みをやわらげてください。」

私がそばに行くと、母は祈りを終え、静かにまぶたを閉じました。その顔はほっとしたようにやわらかく、やがて穏やかな寝息が聞こえはじめます。「朝までぐっすりと休めますように」そう願いながら、私は二人に小さくつぶやきました。
「おやすみなさい。神さま、今日も支えてくださって感謝します。」

