秋のきざしー祈りの園生の窓辺

朝夕の空気に少しずつ涼しさが混じり、夏の名残の中にも秋のきざしを感じるようになってきました。

わが家では、父と母の部屋を「祈りの園生(そのう)」と呼んでいます。その窓や壁には、この夏ずっと金魚のシールを貼って、涼やかさを添えていました。

今日は弟のお嫁さんと一緒に、その夏模様を片付け、秋の景色に飾り替えました。金魚のシールをはがすときに「ありがとう」と心の中で声をかけます。

入れ替わった窓と壁には、リスや小鳥が仲良く並び、紅葉やどんぐりに囲まれて、可愛らしく楽しい秋の雰囲気になりました。カーテンレールに吊るしていた風鈴は、来年も父と母と一緒に夏を迎えられるようにと願いながら、大切に箱にしまいました。

さらに、ポトスに飾っていた造花の朝顔もさっ、さっと抜いてリンドウの花に挿し替え、どんぐりや栗、柿の枝も添えて、テレビの横の棚に秋の実りを飾りました。

すると、何気ない場所がぱっと明るくなり、にぎやかな秋の彩りに包まれました。そのひとつひとつの小さな動作が、部屋に秋の風をすっと運んでくれるようでした。

「この位置だったらお父さん、よく見えますか?」「ん〜〜、もう少し上かなぁ」弟のお嫁さんとやりとりをしながらシールを貼っていく時間は、なんだか心が弾むひとときでした。

飾り付けが終わってから、私は父に「わぁ、お父さん、秋らしくなりましたね〜」と声をかけました。父はにっこりと満面の笑みを浮かべ、「いいね〜」と応えてくれました。その父の喜ぶ姿を見て、母も細かな模様までは見えないものの、うれしそうに微笑んでくれました。

今年も両親と一緒に秋を迎えられることに、静かな感謝の思いが込み上げます。ほんの小さな飾り替えですが、わが家に確かに季節を運び、そっと家族の笑顔を結んでくれる大切なひとときになりました。

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