やわらかな光とともに始まる、わが家の朝
目覚めると、心の中で毎朝祈ることばがあります。
「私のこの手が父と母の手となりますように。私の目が母の目となれますように。私の口があたたかな言葉を語ることができますように。そして、愛の乏しい私の心を、あなたの愛で満たしてください。」祈りをささげて一日がはじまり、「さあ、行こう」と自分を励ましながら部屋を出ます。

母が名づけてくれた両親の部屋『祈りの園生(そのう)』にそっと入り、賛美歌『祈りの園生』を流します。それが、わが家の朝の合図です。「お父さん、おはよう。お母さん、おはよう」カーテンを開けると、やわらかな光が差し込み、窓に貼った金魚のステッカーが透けて、ゆらゆらと泳ぎ出すように見えます。その光景は心をふっと明るくし、朝の喜びを与えてくれるお気に入りの時間です。

「お父さん、いい天気ですね〜」と声をかけると、「本当だね〜」と返ってくる。この何気ないやりとりが、私の心を温めてくれます。そして、ビニール袋をはめた手で父の背中にそっと触れ、たまった圧を抜くとき――その姿はまるでハグしているみたいで、自然と「お父さん、大切に思っていますよ。みんなお父さんを大事に思っています。今日もよろしくお願いしますね」と声をかけます。
すると父は、にこやかに「はい、ありがとう。私も大事に思っています。こちらこそよろしくお願いします!」と元気に応えてくれます。こうして、わが家の一日が始まります。

母は目が見えないながらも、衣服の目印に付けたボタンを探しながら、自分で身支度を整えます。朝食までの静かな時間には黙想をし、父は流れる賛美歌メドレーに合わせて大きな声で歌います。
『祈りの園生』――
そのひとときは、恵みに包まれた穏やかな朝の光景です。