祈りの園生(そのう)と可愛い小さな老人ホームごっこ
両親の部屋に入ると、窓からやわらかな光が差し込んでいました。父は元牧師、母はクリスチャンで、よく祈る人。母がこの家を「祈りの家」と呼ぶようになりました。
6畳の和室をフローリングに替えた両親の部屋は、ちょっとした2人部屋の老人ホームみたい。それを眺めていたら、ふと遊び心がわいてきて――「そうだ、老人ホームごっこをしよう」。母もすぐにのってくれて、父に施設名は何にする?と相談。賛美歌の一節から『祈りの園生(そのう)』という名前が生まれました。

園長は神さま。私の心の中では、姉は遠くから経済的支援や緊急時の協力をしてくれる相談役、弟夫婦は買い物や事務手続き、病院送迎付き添いで通ってくれる通いスタッフ。そんなふうに役をつけると、何だかみんながそれぞれのかたちで介護に参加してくれているのが分かって、とてもありがたく感じます。
そして、外からもたくさんの方が助けてくれています。ケアマネジャーさん、在宅療養支援チームの先生、ソーシャルワーカーさん、看護師さん、訪問歯科チームの先生、衛生士さん、助手さん、24時間待機してくれる訪問看護師さん。

リハビリチームの理学療法士さん、作業療法士さん、言語聴覚士さん、老健スタッフさん、訪問入浴サービスさん、薬剤師さん(薬の管理)、管理栄養士さん(栄養指導と相談)、福祉用具さん(両親の衰えに合わせたアドバイス)、保険外でも気持ちよく助けてくださる介護士さん(父を車椅子に乗せたまま階段昇降)、介護タクシーさん。さらに、弟のお嫁さんのご両親は送迎や病院付き添い、食事の差し入れまでしてくださいます。

こんなに多くの人に支えられて、両親は本当に幸せです。介護をしていると気持ちが沈む日もあるけれど、老人ホームごっこのおかげで、介護する側もされる側も、ちょっと楽しい気持ちになれます。今日も神さま園長の見守りの中、小さな老人ホーム『祈りの園生(そのう)』には、穏やかな時間が流れています。