レスパイト休暇 ― ひとときの休息、ささやかな息抜き
介護にひと息。レスパイトとショートステイで、心の奥に置き忘れていた私と再会した時間。
レスパイトとは、介護する人が一時的に介護から離れ、心と体を休めるための仕組みのことです。自宅で両親の介護をしていると、気づかないうちに自分のことを後回しにしてしまいます。日々の生活は尊く、大切な家族を支える喜びもあるけれど、「私らしさ」はいつの間にか遠くに置いてきたような感覚がありました。
そんな中、今回、父が8日間のレスパイト入院、母が10日間のショートステイに行ってくれました。私は久しぶりに自分のための時間を持つことができました。この時間は、両親が「たまには自分のことも」と思って頑張ってくれたからこそ生まれた、私にとってはとても贅沢で、ありがたい時間でした。
私はこの機会に、北九州市の小倉に住んでいる幼なじみに会いに行きました。去年も何度か会っている友だちですが、今回は3日間じっくりと一緒に過ごすことができました。のんびりおしゃべりをしたり、おいしいものを食べたり…心がやわらかくなる時間でした。

昼食には、友だちが大トロまで入った海鮮丼をご馳走してくれて、その豪華さに思わずびっくり。笑いながら箸をすすめるうちに、心までほどけていくようでした。食後は平尾台へドライブに出かけて、車を木陰に止めてから、二人でお昼寝。夏の静けさに包まれながら、何も考えず目を閉じる時間は、まるで心の休息のようでした。

介護に向き合っていると、“介護している私”で日々がいっぱいになりがちです。でも今回、父が病院で、母が施設で安心して過ごしてくれているおかげで、私はこうして、“心の奥に置き忘れていた私”と再会するような時間をいただきました。ただ誰かと笑い合い、季節の風景に目を向け、自分の好きなものを味わう——そんなひとつひとつが、心に水を注いでくれるようでした。
またすぐに日常が戻ってきます。介護の時間も変わらず続いていくでしょう。でも、この3日間で感じた「私に戻る時間」が、きっとこれからの私を支えてくれると思います。
今この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら、日々誰かのために尽くしながら、ご自分のことはそっと脇に置いて過ごされているかもしれません。もしできるなら、ほんのすこしだけでも、ご自分のことを気にかけてあげてくださいね。それがすぐに叶わなくても、そう思える心が、やさしい第一歩になるのかもしれません。