暑い日が続き、蝉も負けずと鳴いています。
いつものようにポストを開けると、印刷された文字の郵便物にまじって、一枚の葉書が顔を出していました。
水色の空に、黄色、ピンク、ブルーのかき氷の山。小さなペンギンたちが、夏を楽しむように動き回っています。
くるりと返すと、そこにはやさしい手書きの文字がありました。
その文字に目がとまり、ゆっくりと目で追っていきました。
それは、1年8か月、わが家の在宅医療でお世話になっている主治医のH先生と、ソーシャルワーカーのFさんからの残暑お見舞いでした。
その中の一節に、すっと引き込まれました。
「1日の変化は小さくとも、小さな日々のことが重なり、紡がれていくことを、季節の移り変わりとともに感じるこの頃です。」
何度も読み返しました。
覚えてしまいたいほど、美しい言葉でした。
まるで、暑い日に飲む一杯の麦茶のように、身体にすーっとしみ入ってくる言葉でした。

そして、グラスの中の氷がきらりと光るような、美しい言葉が綴られていました。
H先生と初めてお会いして間もない頃、父が誤嚥性肺炎になりました。
訪問看護師の方々に、何度も手動で痰を吸引していただきました。
苦しそうな父の顔を見ると、私まで泣きそうになりました。
すぐに吸引器を購入する手配をしましたが、それまでの間、Fさんがクリニックの吸引器をお借りできるよう、すぐに手配してくださいました。
そして、重たい吸引器を抱え、坂を登って来てくださるFさんのお姿を見た時の、嬉しかったこと、ありがたかったことを、今でもよく覚えています。
それから父と過ごした、一日、一日。
その間にも季節は移り、この春、父は天に召されました。
本当に、一日、一日です。
今、私は母と、いのちを紡いでいます。
だんだんと小さく背中を丸め、息をあげながら歩く母。
その小さな歩幅、小さなひと息。
母はその日、その日を、一生懸命生きています。
その歩幅に合わせて、今日も一緒に歩きます。

母と過ごす今日という一日も、やがて昨日になっていくのでしょう。
母と一緒に、一日、一日を大切に紡いでいきたいのです。
葉書の最後には、
「なにかあっても、なくても、いつでもご連絡くださいね。」
とありました。
いただいた優しさが綴られた残暑お見舞い。
なんだか嬉しくて、冷蔵庫の扉に貼りました。
冷蔵庫を開けるたび、目に入ります。
何かがある日も、何もない日も。
今日もまた、小さな一日を重ねています。
